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この本は、著者が行った講演会「6歳では遅すぎる 子供の目」での内容を、本にしたものである。 近視・斜視・乱視・その他、目に関する症状について、1項目づつ丁寧な説明がなされている。写真や絵も数枚載せられている。他には、著者への質問に関する回答や、当時「さくらんぼ保育園」園長をされていた斉藤公子さんの文章も記載されている。 著者は、専門医療としての「眼科」の内容を、ごく一般の人々が抱いている「目」のイメージと合わせて的確に捉え、なおかつ日常生活に溶け込ませて説明するのが実に見事だと思う。恐らく、著者の観察眼は、大学で医学を専攻するずっと以前の、幼い頃から培われてきたのだろう。親子と「目」の関係、社会と「目」の関係を、長年つぶさに観察し続けていることが、発言内容から伺える。他にも眼科以外の医療従事者の本を何冊か読んだことがあるのだが、著者と同じくらい「体」と「日常生活」を一体化させて書いていた人はいなかったように思う。 斉藤公子さんの文章も素晴らしかった。斉藤さんの文を読んでいて、最近知った、埼玉県の、良い意味で「放任主義」の保育園の話を思い出した。著者との出会いや講演会を依頼した経緯、斉藤さん自身の生い立ちについても書かれている。「本当に正直な人だ!」と感嘆した。 現在は「正直」に生きることが、20年以上前と比べて難しくなっているように思う。その息詰まり感を、この本の著者と斉藤さんの言葉は、見事にぶっ飛ばしてくれる。 「正直に生きてもいいんだ」と教えてくれるこの本は、残念ながら現在発行されていないが、心から復刊を望む本の一冊である。
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