01.
本書を読めば、フェミニズムが立ち向かう対象となる「ジェンダーの鋳型」が、実は他方で「男の掟」となって成人前の男子をも追い詰めていることがよくわかる。まさに諸刃の剣だ。本書はアメリカで出版された図書だが、日本でも某食肉加工会社のCMコピー文句に象徴されるとおり、この辺の事情は違わないと見ていいだろう。本書で推薦されている方法が実際の子育てに役立つかどうかはひとまず措くとしても、問題となる実態、定説・俗説の誤りを把握するには充分有効だと思われる。
「男の掟」が課す試練は、いき過ぎでしかない痩せ我慢を強要することで、人間らしい感情をそぎ落として復讐心のみを残す。そうした前提に立っての競争に勝ち抜いたとき、辛淑玉氏の著書タイトルで「不愉快な男たち」と形容されるようなパーソナリティーが形成されているという寸法だ。そういった人格の持ち主が、優生思想と男尊女卑の精神のもと、権力者に君臨するという構図となる。
そしてそれは、人類最初の階級的社会構成である家父長制的秩序とともに存在し、今日に至るまで維持され続けてきただけに、問題の根は深く、ことは深刻である。
過去からしか学ばず、それも権力に都合のいいところしか手本にしないものだから、人間社会はいつまで経っても良くならないのだ。
02.
かなり期待して読み始めたんですが、内容が性差別的で矛盾しており、期待はずれでした。
まず、息子を「男らしさ」の型にはめてはいけない、と書いてあるが、一方で母親と父親の役割は性差別的に分担するよう推薦している。母親は「得意な言語コミニケーション」で息子の気持ちをサポートする役、父親は、身体を使ったレスリングなどの荒っぽい遊びで、暴力行為の加減の仕方を教える事が大切、など。
また、「『男親がいなければ』という神話」の章で、シングルマザーでも立派に子育て出来ると書いてあるが「父親を知らない男性が父親になったとき」という章では、「父親不在でそだつ弊害は言うまでもない」と言い放っている。しかも、どんな弊害があるかは何も書かれていない。シングルファーザーに育てられた場合の弊害について、なんら言及なされていないのも、興味深い。
さらに、「妻が夫を子供から遠ざけるとき」の章では、父親が子育てに参加するのを妨害しているのは妻である、とも書かれている。子育てで夫が間違った事をした時に、妻が非難するから夫が子育てをしなくなるという理論は、夫の育児不参加の言い訳であり、問題のすりかえだ。
「母親は夫の手助けを必要とする作業と、必要としない作業とを認識しなければならない」とあるが、この著者は基本的に、子育ては母親がするもので、男親は「手助け」だけでいい、と考えている。この考え自体、非常に不愉快。男性も子育てするのが当然の現代にこの本が貢献出来ることはほとんど無い。
03.
心理学の読み物としても有効。例えば、男の子の問題行動はホルモンの違いで 仕方ない、という間違った古い心理学の観念を持つ人は一度これを読んで確認して改めるといいいと思う。 また従来の間違った教育観念を改めるにも有効。
04.
この本は、「男の掟」のもたらすさまざまな弊害について、具体例をあげて判りやすく書いてあります。 「男の掟」とは、簡単にいうと、「男の子でしょ。・・・」(・・・には、泣かないの。とか、しっかりしろ。とか、やり返せ。とかの言葉が入ります)という親や社会の躾のことです。 この本は、アメリカで出版されたものなので、日本では、男の子といえど、ここまで男らしさを強調され、期待されて育てられていないと思いますが、それでもあなたのお子さんが男の子なら、一読されることをお勧めします。 特に、「男の子だけど、むしろやさしい子に育てたい」と思っている方。あるいは、ジジババや、同じ園、学校のお母さんたちとか、先生の「男の子でしょ・・・」という言葉に、ギャップや、異和感を持つ方は、是非一読をお勧めします。きっと迷いがなくなります。 なお、内容で、日本の実情と異なる点があること(訳本だから仕方ないですね)、章によって、文章がやや難しく専門的になっていることを考えて、評価は星4つにしました。
05.
私がこの本を読んで一番感じた事は、「男の子は解らない。」と言うのは、決まって母親のセリフに思われがちですが、実は父親も「男らしくしなさい」といわれ続けて育ってきていて、多感だった昔の頃の感情を忘れてしまい、同じ男でも、息子の本当の気持ちに気がついてあげられていないのではないだろうか?という事です。私は、母親はこの本を読むことによって、息子がどういう状態で、どういう気持ちなのかを理解する手助けとなると思いましたし、父親は自分の育った環境を思いおこしながら、自分自身を振り返り、息子のよき理解者となるための強力な“虎の巻”になると思います。私たち夫婦は二人で読みましたが、それによって息子に対する夫婦の会話が、以前より充実したものになりました。是非、ご夫婦!!で読んで欲しい本です。
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